共同企業体の構成員が一社になった場合

 三社で構成する共同企業体と議会の議決を経て工事請負契約を締結後、工事完了前に共同企業体のうちの一社が倒産した場合は、改めて議会の議決を得る必要はないとされています。
 共同請負の場合は、各構成員が共同企業体協定書に従って連帯して工事を施工することになります。標準的な共同企業体協定書には、工事途中における構成員の破産又は解散に対する処置があらかじめ定められています。このように「契約の内容においてその要素の変更に関する定めをしていた場合、その定めに従って契約の内容を変更することは、契約の実現とみなされるもので、新たな契約を締結するものではない」(「地方財務実務提要」地方自治制度研究会編集/ぎょうせい)ことから、改めて議会の意思を問う必要はないと解されているからです。
 また、共同企業体は、民法上の組合と解されています。共同企業体と締結する契約書に構成員全員の名称を列記するのは、共同企業体自体に法人格がないからです。そして、共同企業体の債権債務は、全構成員に合有しており、各構成員の債権債務とは別に、共同企業体という一つの団体の債権債務として存在しているのであって、例え構成員が脱退しても、共同企業体は、同一性をもって残存構成員間に存続すると解されています。
 「なお、2者で組織された組合では、1者の脱退は、組合の解散事由になる」(「自治大阪平成4年3月号」相談室)と解されています。
 一方、「二社で構成する建設工事共同企業体の一部が脱退した場合の事務の取扱いについて」(昭和56年3月13日建設省計振発第52号)には、「2社で構成する建設工事共同企業体(甲型)の構成員のうち1社が倒産等の理由で脱退した場合であっても、残存構成員たる1社で当該工事を完成する能力も意志もあると認められるときは、当該共同企業体は継続し、かつ、従前の契約は有効として取扱うことが適当である」とあります。
 しかし、2者で組織された組合では、1者の脱退は組合の解散事由になると解されていることから、共同企業体の存続には疑問があります。共同企業体の権利義務を残存構成員に包括承継した上で共同企業体を解散し、残存構成員の単独施工に切り換えるというのが、現実的な解決策ではないでしょうか。
 なお、この場合は、改めて議会の議決を得る必要があります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:03 | 地方自治法

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