−管理人のたわごとブログ− 2009年4月
25日(金)に開催されたおおさか政策法務研究会第40回定例会で話題になった条例の話です。
要綱設置の懇話会に公金を支出したことに対する損害賠償等請求事件(さいたま地裁平成14年1月30日判決)では、懇話会が条例に基づかず、市の内部規範にすぎない要綱によって設置、運営されたことは、地方自治法第138条の4第3項の規定に違反したものであるが、市に実質的な損害が生じていないとして却下しています。
この判決では、附属機関について、「法138条の4第3項には、審査ないし諮問の目的や機関の存続期間についても何の限定もされていない以上、一定の事項についての提言をするまでの臨時的、一時的な住民参加型会議組織であるからといって、本件懇話会が附属機関に当たると解する妨げとはならないものというべきであるから、被告の主張は採用の限りではない。
なお、このように附属機関の意義を解することについては、行政に対しては、随時、専門的、科学的あるいは民主的意見を反映させることが必要であり、そのためには、弾力的に行政を運用することができなければならないとする近時の要請に適合しないとする非難が予想される。このような社会的要請にそれなりの合理性があることは否定できないけれども(もっとも、前記の事実関係のもとにおいては、本件懇話会の設置条例を制定する時間的いとまがなかったとは想定しにくい。)、法138条の4第3項の規定の制度趣旨は前記のとおりであり、これに合理性が肯定できる以上、上記の社会的要請も、この法の趣旨に反しない程度で実現されるほかないものというべきである。例えば、その調和点として、予想される附属機関の目的や類型、存続期間等を定めておき、所定の条件を満たす附属機関については、市長等執行機関が行政執行上の必要に応じて随時設置することを認める旨のいわゆる委任条例を制定しておくことなどは、法の許容するところと解される」としています。
ならば、次のような条例は、可能でしょうか。
附属機関の設置に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、法律又は他の条例に定めるもののほか、地方自治法(昭和22年法律第67号)第
138条の4第3項に規定する附属機関の設置に関し基本となる事項を定めることにより、弾力的かつ
適正な行政運営を図ることを目的とする。
(設置)
第2条 市長その他の執行機関は、法律又は他の条例に定めがある場合を除くほか、次の各号のいず
れかに該当する場合に限り、調停、審査、諮問又は調査を行うため、附属機関を随時設置することが
できる。
(1) 一時的に設置が必要な場合
(2) 急施を要する場合
(3) 専門的又は技術的な意見が必要な場合
(4) 政治的中立性の確保が必要な場合
(5) 市民の意見の反映が必要な場合
(施行の状況の報告)
第3条 市長は、毎年度、各執行機関におけるこの条例の施行の状況を取りまとめ、議会に報告するも
のとする。
(委任)
第4条 この条例の施行に関し必要な事項は、執行機関が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成○○年○月○日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日の前日までに、市長その他の執行機関が規則又は告示により、調停、審査、
諮問又は調査を行うために設置した機関は、第2条の規定により設置した附属機関とみなす。
この条例によって「条例の定めるところにより」、「調停、審査、諮問又は調査のための機関を置」いたとことにはならないと考えています。「その設置の旨のみならず、その構成、担任事務及び運営の大綱等について、基本的な事項についても条例に規定することが「条例の定めるところにより」とした法の趣旨に適合するものと考える」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)からです。これでは、その設置の旨さえも規定されているとは言い難いのではないでしょうか。
公印とは、「公務上作成された文書に使用する印章で、その印影を押すことにより当該文書の真正を認証することを目的とするもの」(「新自治用語辞典」新自治用語辞典編集会編/ぎょうせい)です。
公印は、原則としてすべての公文書に押印することとされていますが、軽易な文書その他特定の文書にはこれを省略することができ、また、特定の内容の文書を多数印刷する場合には、公印の印影を当該文書と同時に印刷することにより、当該公印の押印に代えることができるとされています。一般的に公印の印影印刷といわれています。
また、電子計算機を利用して作成する文書については、公印の印影の情報を電子計算機に記録し、その記録した印影を当該文書に印刷することによって、公印の押印に代えることができるとされています。一般的に電子公印といわれています。
公印の印影印刷と電子公印は、公印の印影を印刷(印鑑は一つ)するものと電子情報として作成した公印(印鑑は二つ)を押印するものという整理をしている市町村もあるようですが、電子公印は、正確には電子印影というべきものあって、公印の印影印刷の一つの方法であると考えるべきではないでしょうか。
今年度になってから、議員の兼業禁止に関する質問が増えています。
内容については差し控えますが、地方自治法第92条の2は、「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない」と規定しており、当該議員が同条の規定に該当するときは、その職を失います。そして、この規定に該当するかどうかは、議会が自立権に基づき自主的に決定するとされています(同法第127条第1項)。
平成18年に、ごみ袋の販売契約に関して、I市の議員が失職するという事件がありました(審査請求の結果、大阪府知事は、営利性がなく、請負契約には当たらないとして、失職を取り消しました。)。同じ頃、同様の事例が本市でもありました(本市の場合、資格決定の要求が出され、資格審査特別委員会を設置したものの、I市の裁決が出たことから、撤回しました。)。
当時は、それなりの騒ぎになりましたが、このことが一つの教訓になっているならば、あの騒ぎも無駄ではなかったと思います。
地方公務員が自分の意見を公表するということは、相応のリスクが伴います。それは、地方公務員法上の服務規定(例えば信用失墜行為の禁止(第33条)、守秘義務(第34条)、職務専念義務(第35条)等)に違反した場合における懲戒処分だけではなく、有形無形の様々な不利益を被る可能性があります。
特に、不特定多数の人の目にふれるブログを書くということは、ある程度、読者層が特定される雑誌等への投稿や論文の発表などに比べ、その可能性が増大します。事実、ブログを書いたことによって何らかの嫌がらせを受けたという話は、よく聞きます。
それでもブログを書いてみようと思ったのは、本市職員を第一の読者層として意識したからです。本市職員に対する情報発信ということを考えた場合、ブログの持つお手軽さという特性が最もマッチングするように思えたのです。
全国には、1,800弱の市町村が存在します。そのうちの一つである本市で行われていることが、市町村のスタンダードではありません。何の問題意識も持たず、流れに任せて仕事をするのではなく、何が正しく、何が間違っているのかを考えるきっかけになればと思い、始めたものです。
巷間の公務員ブログを読ませていただくと、中には非常にレベルの高いものがあり、研究論文かと思うものさえありますが、反則法制は、あくまで、しょぼい市のしょぼい職員のたわごとというスタンスで書いていきたいと思っています。
2年4か月以上にわたって書いてきた反則法制も今回で200回目になります。どの市町村にも大なり小なりのタブーは存在すると思いますが、特に本市は、アンタッチャブルな部分が多いと思います。まだ、本当に書きたいことは、書けていないのです。
今年度から顧問弁護士を変更しました。この機会に、非常勤特別職(地方公務員法第3条第3項第3号)として雇用契約を締結していた(2007年8月20日付け記事)のを改め、総務課で弁護士事務所と法律顧問の委託契約を締結することにしました。
それはいいのですが、問題は、この弁護士事務所が市長の意向で最初から決まっていたことです。委託契約が「売買、貸借、請負その他の契約」である以上、地方公共団体の契約は、一般競争入札を原則とし、少なくとも公正性と経済性を確保するようにしなければならないはずです。
一応は、地方自治法施行令第167条の2第1項第2号(その性質又は目的が競争入札に適しないもの)該当による随意契約となっていますが、どうも納得できません。
顧問弁護士は、あくまで市の顧問弁護士であって、市長の顧問弁護士ではありません。
2009年3月5日付け記事のコメントにいただいた御質問に対する回答(?)です。遅くなってしまい、申し訳ありません。
地方公務員の給与については、「給料、手当及び旅費の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない」(地方自治法第204条第3項)とされ、「普通地方公共団体は、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには、これをその議会の議員、第203条の2第1項の職員及び前条第1項の職員に支給することができない」(同法第204条の2)と規定しています。
「「法律又はこれに基く条例に基」づき支給するとは、法律上直接に給与の種類、額、支給方法等について規定があり、これによって直ちに給与が支給できるような場合に、これに基づいて支給すること、及び法律においてある種の支給について根拠があり、この法律の規定に基づいて条例で具体的に種類、額、支給方法等を定め、それに基づいて支給することをいう」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)と解されています。これを素直に読めば、規則に委任することに疑義が生ずるものと思われます。
しかし、その一方で、地方公務員法第25条第1項が「職員の給与は、前条第6項の規定による給与に関する条例に基いて支給されなければならず、又、これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない」と規定していることについて、「給与条例に規定すべき内容として、本条第3項は七つの事項を列記している。しかし、これらの列記事項は、現実に制定されている給与条例と必ずしも対応していない。たとえば、昇給の基準(第2号)は給与条例によって規則に全面的に委任されており、各種手当(第3号および第4号)もそこに掲げられているもの以外に数多くの手当が支給されている。その他の点についても、現実にはほとんど機能していないといっても過言ではない状態であり、実際に施行されている各地方公共団体の給与に関する条例は、国家公務員の給与に関する各法律やこれに基づく人事院規則等を基準として定められているところである」(「逐条地方公務員法」橋本勇著/学陽書房)としています。
最近では「各種手当(第3号および第4号)もそこに掲げられているもの以外に数多くの手当が支給されている」ことはないと思いますが、確かに、級別資格基準表、初任給基準表及び級別標準職務表については、規則で定められています。このことは、国家公務員の一般職の給与に関する法律及び人事院規則が、地方公共団体の給与に関する例規のモデルとなっていることにその原因があると思われます。現に、給与条例において規則委任されている事項は、国家公務員の一般職の給与に関する法律において人事院規則に委任されている事項です。そうであるならば、規則に委任する事項を条例上明確に規定している限り、違法性の問題は生じないと思います。
また、規則に委任した以上は、委任事項を定めるのは長の権限です。規則の提示を義務付けることはできません。それが許されないとお考えであるならば、条例案の審議において、条例事項とするよう求めるべきではないでしょうか。
なお、「ワークブック法制執務」(法制執務研究会編/ぎょうせい)の問16の「政令に委任された事項を、当該政令で更に省令に委任することができるか」という問に対し、「まず、ある事項が法律の専属的所管事項とされる場合には、法律によるのであれば、そのような事項について規定することができることを意味するのであるから、少なくとも当該事項の基本的事項は法律において定められることを要し、そのような法律事項を包括的、全面的に政令に委任してしまうことは、当該事項が法律の専属的所管事項とされること自体を無意味にしてしまうので、違憲の疑いを免れないとされる。そうだとすれば、政令に委任された事項を当該政令で更に省令に委任することができるかという点についても、法律が委任事項を規定すべき法形式を政令と規定している以上、いわれもなくそのようなことが許されるとは考えられず、いわゆる再委任は、原則として許されないものと考える。ただ、必要やむを得ない場合において厳格に第一次の委任事項の範囲を超えず、その具体的な細目の規定だけを授権するようなものであれば、そのような再委任が許されないとまではいえないであろう」とあります。
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