−管理人のたわごとブログ− 条例の停止
「鳥取県の平井伸治知事は19日、批判が相次ぎ施行されなかった人権侵害救済条例を廃止する一方、人権相談窓口の充実などを盛り込んだ「人権尊重の社会づくり条例」改正案を2月定例県議会に提案した。専門機関同士の連携を強めるとともに、教育、福祉などの専門相談員を増やし、人権を尊重するためのネットワーク構築を目指す。
人権侵害救済条例は平成17年10月に全国で初めて制定。人種差別や虐待、セクハラ(性的嫌がらせ)などを禁止し、加害者が勧告に従わない場合、過料など罰則も設けた。
しかし直後から、「人権侵害の定義があいまい」「表現の自由を侵害するおそれがある」などとする批判が法曹界などから続出。施行前の18年3月に停止されていた」(2月19日付け産経新聞夕刊)。
鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例は、鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例等の停止に関する条例により、その施行が停止されていました。珍しいケースだと思うのですが、条例の停止とは、何でしょうか。
「「法令の廃止」に似て非なるものに、「法令の停止」がある。
「法令の停止」とは、一定期間法令の効力を停止させて働かない状態に置くことをいう。
法令がまったく適用されなくなるという点で「法令の廃止」と似ているが、「法令の停止」の場合には、法令としては存在し、将来法令の効力を停止している法令が廃止されればその効力が復活することになるという点で、「法令の廃止」とは異なるものである。
「法令の廃止」の例としてよくあげられるものに「陪審法(大正12年法律第50号)」がある。
陪審法は昭和3年に施行されたが、陪審制度は国情に合わない等の理由により、昭和18年に至って、「陪審法の停止に関する法律(昭和18年法律第88号)」によってその施行を停止された。したがって、陪審法は現在でも法律として存在するのであり、「陪審法の停止に関する法律」が廃止されれば、その効力が復活するのである(もっとも、陪審法は、旧刑事訴訟法時代に制定されたものであるから、そのままの形で効力を復活させ、適用することができるかどうかは問題があろう)。
なお、右の陪審法のほかに、その効力が停止された法律の例として、「公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法(昭和23年法律第134号)」と「新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律(昭和27年法律第32号)とがある。この二つの法律は、国の財政の健全化及び中央地方を通ずる財政調整の見地から、後日適当の措置をとるまでの間の臨時的な措置として、昭和29年に「補助金等の臨時特例等に関する法律(昭和29年法律第129号)」によってその施行を停止されたものであるが、いずれも、その後効力を復活することなく廃止されている(後者の法律は、昭和31年に「就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律(昭和31年法律第40号)」附則第2項によって、前者の法律は、昭和60年に「国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律(昭和60年法律第37号)」第13条によって廃止された」(「立法技術入門講座3 法令の改め方」河野久編著/ぎょうせい)。
鳥取県人権尊重の社会づくり条例の一部を改正する等の条例を見るまで知らなかったのですが、停止された条例を廃止する場合は、停止する条例も廃止した上で、所要の改正を行うんですね。なるほど、就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律と国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律を見ても、停止する法律を廃止し、所要の改正を行っています。
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