いわゆる総合計画

 「市町村は、その事務を処理するに当たつては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない」(地方自治法第2条第4項)。
 一般的に総合計画と呼ばれているものの根拠規定です。10ごと又は首長の任期に合わせて策定している市町村が多いのではないでしょうか。
 「この規定は、昭和44年の改正によって創設されたものであるが、その趣旨は、急激な地域経済社会の変動の中にあって市町村が真に住民の負託に応え地域社会の経営の任務を適切に果たすためには、市町村そのものが将来を見とおした長期にわたる経営の基本を確立することが必要であると考えられたものであり、このことは当時の各種の地域問題に関する諸法律が整備されてきたこととの関連においても改めて強く認識されるに至ったからである。したがって、ここにいう基本構想は、当該地域の発展のために立てられる各種の具体的な計画のすべての基本となるべきものでなければならない」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)ものです。
 ところが、コンサルタント会社に委託し、ワーキンググループで検討を重ね、パブコメを実施し、審査会の答申を得て策定したにもかかわらず、明日の財政健全化団体で出来上がった総合計画は、単に美辞麗句を並べただけのものになっています。膨大な労力と金をかけた割には、これが「当該地域の発展のために立てられる各種の具体的な計画のすべての基本」とは思えません。
 市議会3月定例会に第4次総合計画が追加議案として提案されました。3月定例会は、次年度の当初予算案がありますので、施政方針演説があります。総合計画が提案されていない中で行われた施政方針演説にも、何の意味があるのかと思ってしまいました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:05 | 地方自治法 | コメント (0) | -

阪神なんば線開業

 第15回自治体法務合同研究会は、7月18日(土)・19日(日)に尼崎市中小企業センター開催されます。
 3月20日(金)阪神なんば線が開業しました。これで大阪の南部(南海線沿い)や奈良方面から尼崎へ行きやすくなります。大会成功への追い風になることを期待します。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:08 | その他 | コメント (0) | -

追加議案

 「議案の提出は議会の開会中に限る」(昭和24年8月16日行政実例)とされていますので、理論上は、会期中であれば、いつでも議案を提出することが可能です。しかし、現実の問題として、議案を作成する時間及び議会で審議する時間が必要ですので、議案の提出期限には、地方公共団体ごとにローカルルールが存在します。
 本市では、議会の招集日の7日前に議会運営委員会を開催することとしていますので、その日の前日に議案(正確には同一内容の印刷物)を送付しています(3月定例会を除く。2007年2月27日付けブログ参照)。そして、この後に提出する議案を追加議案と称しています。
 追加議案は、委員会の終了後、後半の本会議の前に置かれる議会運営委員会の前日に送付します。追加議案は、原則として委員会付託を省略することとしていますので、追加議案とする案件が決まっています。それが、地方自治法第221条第3項の法人の経営状況の報告と人事案件(2007年6月23日付けブログ参照)です。
 本市の場合、この経営状況報告と人事案件、そして一部の例外、例えば給与改定に伴う給与条例の一部を改正する条例などを除き、すべての議案は、議会の招集日前に開催される議会運営委員会の前日に送付することがルールになっています。
 最近、このルールが崩れてきています。3月定例会の追加議案は、政治的な理由から、今日の時点でまだ固まっていません。追加議案の送付日は、24日(火)です。外的な要因でやむを得ないものは別として、委員会付託を省略する以上は、安易に追加議案として提案することには、疑問を感じます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:08 | 地方自治法 | コメント (0) | -

行進及び集団示威運動に関する条例(後編)

 市警察の廃止に伴う経過措置として、大阪府が別に条例を制定するまでの間、暫定施行された行進及び集団示威運動に関する条例は、半世紀を経た今も現に存在し、その効力を有しています。
 戦後、治安警察法が廃止され、集会やデモ行進を取り締まる必要から、この条例が制定されたのでしょうが、自治体警察の廃止後、なぜこのような状態で残されたのかは、よく分かりません。おそらくは、政治的な理由によるものでしょう。その結果、例えばデモ行進をするのに、公安委員会の許可が、A市とC市では必要で、B市とD市では不要という状態が発生しています。さらに、市町村合併があった市によっては、同じ市内でも、旧a市域内では必要で、旧b市域内では不要という状態が発生することになります。
 平成2年5月22日付け毎日新聞に「市公安条例をみつめて」と題されたコラムが掲載されています。そこには、「「取り締まり当局の考えに無理があるのでは」と、当時の私は検察庁の公安担当者に疑問をぶつけた。
 その答弁をまとめると警察法の改正に伴う経過措置として、政令で府公安委員会が市公安委員会の仕事を引き継いでいる。広島県のように都道府県の公安条例ができたら、その時点で市公安条例は消える。それまでの間は有効だという。
 この説明には多くの矛盾があった。たとえば府公安委員会が不許可にしたとき市議会に報告する解釈になる(現実にそう運用されている)が、全く意味を持たないということだった」と書かれています。しかし、本市では、行進及び集団示威運動に関する条例第4条第2項に規定する報告を市議会に行ったことはありませんし、他市で、このような報告を行ったというのを聞いたこともありません。半世紀もの間、不許可の事例がないのでしょうか?
 このコラムには、「今は退官したその検事も「十年もたてば市町村の合併も進み(この条例の有無効を争う議論が)厳しくなりそうですね」と示唆してくれたのだった」とも書かれています。しかし、平成の大合併のさなかに、この条例の有無効を争う議論が厳しくはなりませんでした(ただし、米子市のように合併の際の暫定施行(地方自治法施行令第3条)が問題になったケースもあります。市町村の事務ではない条例を暫定施行することは、大いに疑問があります。)。
 行進及び集団示威運動に関する条例は、できる限り速やかに廃止するべきだと考えています。その上で必要があるならば、都道府県が条例を制定すればよいだけのことです。
 以前、本市では、地方分権一括法が施行される際、関係例規の整理に行進及び集団示威運動に関する条例もリストアップしました。そして、「大阪府において、行進及び集団示威運動に関する条例を制定する予定はあるのか。ないのであるならば、本市において、同条例を廃止することとしてよいか」という質問状を出しました。結果は、何か月も経った日、助役に呼ばれ、「何やお前、警察にけんか売ったんか。わしは、よう分からんのやけど、条例の廃止はまかりならんど。やめとけ」と言われました。
 前掲のコラムにはサブタイトルとして「経過措置が無限に続くのか」とありますが、このままでは、無限に続く可能性が高いように思われます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 15:36 | 政策法務 | コメント (0) | -

続・例規原本作成用ソフト

 平成21年から例規原本作成用のワープロソフトをワードに変更しました。ソフトの変更は以前から考えていたのですが(2007年12月26日付けブログ参照)、今の庁内のOA環境等を考え、今年から思い切って変更してみました。
 以前使っていたオアシスは、独自のフォントを使用していますので、ワードにすると、同じ10.5ポイントでもサイズが微妙に小さくなったような感じを受けます。また、題名は、14ポイント(オアシスの3分の4拡大機能を使用。10.5×4/3=14)にすると大き過ぎますので、13ポイントにしました。
 出来上がりをこれまでと同じものにしようとしているのですが、ソフトが変わると、当然、機能も変わります。特に、けい線の使い方、句読点のぶら下げ方、外字やイメージデータの取扱いなどはまったく違いますので、結構難儀しています。
 一般文書では以前からワードを使っていたのですが、例規文書を作成してみると、英字用のソフトやな〜と改めて感じています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:21 | 法制執務 | コメント (0) | -

行進及び集団示威運動に関する条例(前編)

 本市には、行進及び集団示威運動に関する条例があります。行進及び集団示威運動に関する条例、いわゆる公安条例というと、徳島市公安条例事件最高裁判決を思い起こす方も多いのではないでしょうか。しかし、この判決を基にして、条例制定権の限界について高尚な意見を展開するつもりもそんな能力もありません。ここでは、この条例の持つ問題点についてのたわごとにお付き合いください。
 行進及び集団示威運動に関する条例の全文は、次のとおりです。
   行進及び集団示威運動に関する条例
                                                   昭和24年5月12日
                                                  ○○○市条例第22号
第1条 行進又は集団示威運動で街路を行進し又は占拠することにより街路を使用する他人の個人的
 権利を排除し、若しくは妨害するに至るべきものは公安委員会の許可を受けないで行ってはならない。
第2条 前条の許可申請は主催者たる個人又は団体の代表者から前条の行進又は集団示威運動の開
 始時刻の72時間前までに公安委員会に対し文書でしなければならない。
第3条 前条の申請書には次に掲げる事項を記載しなければならない。
 (1) 行進又は集団示威運動の日時
 (2) 主催者及び参加全団体の氏名又は名称及び住所又は事務所の所在地
 (3) 行進の経路又は集団示威運動の場所
 (4) 参加予定人員数
 (5) 行進又は集団示威運動の目的及び性質
第4条 公安委員会は、第2条の規定による申請があったときは行進又は集団示威運動が公安に差迫
 った危険を及ぼすことが明らかである場合の外は許可しなければならない。
  前項の場合において許可をしないときは公安委員会は詳細な経緯及び理由を附けてその旨を速や
 かに市議会に報告しなければならない。
  公安委員会は第1項の許可をする場合において集団的無秩序又は群衆による暴力行為に対し一般
 公衆を保護するために適当な条件を附けることができる。
第5条 第1条の規定に違反して行われた行進又は集団示威運動を計画し若しくはこれに参加した者又
 は第3条に規定する申請書に虚偽の事項を記載した者及び前条第3項の規定に基き公安委員会が附
 した条件に従わないものは1年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処す。
  前項の刑は併科することができる。
第6条 この条例は第1条に定める行進又は集団示威運動以外の公の集会を催す権利を禁止し若しく
 は制限し又は公の集会、政治運動若しくはプラカード出版物その他の文書図画等を監督し若しくは検
 閲する権限を公安委員会警察吏員若しくはその職員又はその他の市吏員若しくはその職員に与えよ
 うとするものではない。
第7条 この条例は公務員の選挙に関する法律に矛盾し又は選挙運動中に於ける政治集会若しくは演
 説の事前届出を必要ならしめるものではない。
   付 則
 この条例は、公布の日から施行する。

 見出しのないところや項番号が付されていないところに時代を感じますが、この条例は、昭和29年に警察法が全部改正されたことによって市町村が有していた自治体警察が廃止された際に廃止されるべきものでした。
 ところが、廃止されませんでした。正確には、市警察廃止に伴う関係条例の整理についての条例により、11条例が廃止(6条例が改正)されたのですが、行進及び集団示威運動に関する条例の廃止については、大阪府が定める当該事項についての条例施行の日から施行するとされました。そして50年以上経った現在も、大阪府が定める当該事項についての条例は、施行されていません。
 また、警察法施行令第19項にも警察の事務に関する市町村条例の経過措置として、「法の施行の際自治体警察を維持していた市(指定市を除く。以下本項中同じ。)町村の条例で現に効力を有するものの規定により当該自治体警察の機関又は職員の事務として定められていた事項は、当該市町村又は当該市町村を包括する都道府県が条例で別に定をするまでの間、当該市町村を包括する都道府県の都道府県警察の機関又は職員の事務として当該都道府県警察の機関又は職員が処理するものとする」と規定されています。
 なお、行進及び集団示威運動に関する条例が存在する市町村は、全国で35市(うち大阪府では13市)あるそうです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:21 | 政策法務 | コメント (2) | -

条例の停止

 「鳥取県の平井伸治知事は19日、批判が相次ぎ施行されなかった人権侵害救済条例を廃止する一方、人権相談窓口の充実などを盛り込んだ「人権尊重の社会づくり条例」改正案を2月定例県議会に提案した。専門機関同士の連携を強めるとともに、教育、福祉などの専門相談員を増やし、人権を尊重するためのネットワーク構築を目指す。
 人権侵害救済条例は平成17年10月に全国で初めて制定。人種差別や虐待、セクハラ(性的嫌がらせ)などを禁止し、加害者が勧告に従わない場合、過料など罰則も設けた。
 しかし直後から、「人権侵害の定義があいまい」「表現の自由を侵害するおそれがある」などとする批判が法曹界などから続出。施行前の18年3月に停止されていた」(2月19日付け産経新聞夕刊)。
 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例は、鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例等の停止に関する条例により、その施行が停止されていました。珍しいケースだと思うのですが、条例の停止とは、何でしょうか。
 「「法令の廃止」に似て非なるものに、「法令の停止」がある。
 「法令の停止」とは、一定期間法令の効力を停止させて働かない状態に置くことをいう。
 法令がまったく適用されなくなるという点で「法令の廃止」と似ているが、「法令の停止」の場合には、法令としては存在し、将来法令の効力を停止している法令が廃止されればその効力が復活することになるという点で、「法令の廃止」とは異なるものである。
 「法令の廃止」の例としてよくあげられるものに「陪審法(大正12年法律第50号)」がある。
 陪審法は昭和3年に施行されたが、陪審制度は国情に合わない等の理由により、昭和18年に至って、「陪審法の停止に関する法律(昭和18年法律第88号)」によってその施行を停止された。したがって、陪審法は現在でも法律として存在するのであり、「陪審法の停止に関する法律」が廃止されれば、その効力が復活するのである(もっとも、陪審法は、旧刑事訴訟法時代に制定されたものであるから、そのままの形で効力を復活させ、適用することができるかどうかは問題があろう)。
 なお、右の陪審法のほかに、その効力が停止された法律の例として、「公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法(昭和23年法律第134号)」と「新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律(昭和27年法律第32号)とがある。この二つの法律は、国の財政の健全化及び中央地方を通ずる財政調整の見地から、後日適当の措置をとるまでの間の臨時的な措置として、昭和29年に「補助金等の臨時特例等に関する法律(昭和29年法律第129号)」によってその施行を停止されたものであるが、いずれも、その後効力を復活することなく廃止されている(後者の法律は、昭和31年に「就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律(昭和31年法律第40号)」附則第2項によって、前者の法律は、昭和60年に「国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律(昭和60年法律第37号)」第13条によって廃止された」(「立法技術入門講座3 法令の改め方」河野久編著/ぎょうせい)。
 鳥取県人権尊重の社会づくり条例の一部を改正する等の条例を見るまで知らなかったのですが、停止された条例を廃止する場合は、停止する条例も廃止した上で、所要の改正を行うんですね。なるほど、就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律と国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律を見ても、停止する法律を廃止し、所要の改正を行っています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:16 | 法制執務 | コメント (0) | -
<< 2009年3月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
Links