−管理人のたわごとブログ− 損害賠償の額
学校事故に係る示談で、地方公共団体が「法律上その義務に属する損害賠償の額を定める」(地方自治法第96条第1項第13号)場合は、独立行政法人日本スポーツ振興センターから支給される災害共済給付金を含まないと解されています。
これは、次の理由によります。
「独立行政法人日本スポーツ振興センター法(以下「法」という。)に基づき日本スポーツ振興センターが行う災害共済給付は、日本スポーツ振興センターと災害共済給付契約を締結している学校設置者の所管学校の児童生徒に対し、学校設置者からの共済掛金を主財源としてなされます(法第18条)。給付の対象は、幼稚園から高等専門学校に至る児童生徒の学校の管理下における災害であって、不法行為事故に限らず、児童生徒の人身事故があれば、自然災害でない限り対象となります(法第16条、同法施行令第5条)。給付の請求は、学校側のほか被害者側からもでき、給付内容は、医療費、障害・死亡見舞金となっています(法施行令第3条)。また、学校設置者が日本スポーツ振興センターに特別掛金を支払う免責特約を結ぶことによって、給付の価額の限度においてその損害賠償の責めを免れることとなっています(法第16条)。
ところで、自治法第96条第1項第13号に基づき議会の議決の対象となる額については、自動車損害賠償保障法第16条に基づき被害者に直接支払われた保険金も含めた総額と解されていますが、その理由は、被害者請求による保険金の支払いも地方公共団体の損害賠償義務を前提とすること、具体的金銭の支出でなく法律上の損害賠償の総額を議会の議決にかからしめることに意義があること、被害者請求による保険金を除くと損害賠償額の妥当性の判断が困難となること、被害者請求による場合と他の場合で議決の対象額が異なるのは不合理であること等とされています。
以上のことから質問について検討しますと、前述の日本スポーツ振興センターの災害共済給付金については、その給付は地方公共団体の損害賠償義務を前提としないこと、給付の限度において損害賠償義務を免れること、給付額は被害の程度により明定されていること等被害者請求による保険金の支払いの場合とは性格が異なるものと考えられます。したがって、学校事故に係る損害賠償額については、法第16条により学校設置者が免責される額を除いた額についてのみ議決を要するものと解します」(「地方財務実務提要」地方自治制度研究会編集/ぎょうせい)。
この3月定例会で学校事故に係る和解案件(民事訴訟法第89条の訴訟上の和解)があったのですが、担当課からどうしても既払いの災害共済給付金を議案に明記してくれと頼まれました。前掲のとおり、議決を要するのは「法律上その義務に属する損害賠償の額」なのですが、日本スポーツ振興センターから、災害共済給付金が支払われていることをはっきりさせておいてほしいと言われている(?)とのことでした。
考えたあげく、「損害賠償額○○円(独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付金○○円を除く。)」としました。
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投稿者 : 2013年8月12日 15:18