補正予算第2号を可決し、第1号を否決した場合

 「議員・職員のための議会運営の実際2」(地方議会研究会編著/自治日報社)に次のような記述があります。
「議員 補正予算一号と二号が提出され、二号が可決、一号が継続審査となったとき、一号の既定予算が変動するが、長は訂正する必要があるか。
助言者 会期中に二つ以上の補正予算が提出されることは、しばしばあることです。議会が提出順に可決するならば問題ないのですが、後から提出した補正予算を先に可決したり、または先に提出した補正予算を継続審査に決定したりしますと、既定予算に変動を生じます。議会が修正すれば問題ないのですが、しない場合はどうするかです。この場合の取扱いとしては、適当ではありませんが、計数整理を議長に一任することが考えられます。
 これとは別に、長が既定予算の訂正を申し出る方法もあります。議長に計数整理を一任しなかった場合、補正第一号の既定予算は提案のままの数字になっていますので、長は訂正を申し出る必要があります。この申し出は、継続審査の議決前にするのが原則ですが、会期中であれば継続審査の議決の後でも差し支えありません。次の会期で訂正を申し出ることも考えられますが、第一号の既定予算が変更になった場合は、できる限り早く訂正する必要がありますので、同一会期中に行うことが適当です。」
 こうした事態が本市で起こった場合を考えると、議長に計数整理を任せることは無理でしょうから、おそらく、次の会期で長が既定予算の訂正を申し出ることになろうかと思われます。ここで気になったのが、修正されないまま可決された補正予算第2号の取扱いです。また、この場合において、補正予算第1号が否決されたときは、どうするのでしょうか。
 「地方財務実務提要」(地方自治制度研究会編集/ぎょうせい)第1巻2134ページには、次のように記されています。
「問 同一会期中に第三回、第四回の補正予算案が審議(第三回は継続されたもの)されたが、採決において、第四回補正予算案が先に可決され成立したが、第三回補正予算の方はその後否決された。この場合計数整理はどのようにすべきか。
答 質問のような場合、すなわち同一会期中にあるいはそれ以上の補正予算がやむをえず提出されることが考えられるところです。この場合、議会として、その提案順序により可決成立させるとしたならば特に問題は生じませんが、その順序を変え、あるいは一は可決するが他は否決するといったことも可能ですし、そのような事態が生じたこともあります。
 これらの場合、議会の議決の対象となるものは補正額そのものであると解されますので予算の効力の問題はないわけですが、ただ補正予算における様式中のいわゆる「補正前の額」等について不正確なものがそのまま可決されることが予想されます。したがって、そのような場合には議会で可決する際にその形式を整えて可決することも考えられますし、またあまり複雑になり、時間の余裕もないということから、議会の議決で議長にその整理を委任し、議長がこれを整理することも考えられます。」
 うーん、議長の計数整理に議会の議決が必要ですか。一方、同書の2083ページには計数整理について、「実際の運用としては、議会において、議長が議事整理権で、「既定予算額」・「補正の額」・「計」の欄に所要の計数整理を行い修正をし整合するようにしておくのが適当な取り扱いと考えられます」とあります。こちらの方が適切でしょう。
 しかし、現実の問題としてこのような事態が発生すると、議長の計数整理だけでなく、再議の可否など、かなり難儀しそうです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:41 | 地方自治法

コメント

 

投稿者   : 2013年9月21日 23:46

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