リアル「再生の町」(中編その3)

 わずか500票差の僅差でした。この結果を予想した人は、一人もいなかったのではないでしょうか。現市長が就任のあいさつの中で自ら「晴天の霹靂」と語ったように、一番驚いたのは、当の現市長だったのではないかと思います。
 では、それほどまでに強かった前市長が、なぜ敗れたのでしょうか。政治力と人間的魅力を兼ね備え、圧倒的な存在感のあった人物でしたが、それ故に、ワンマン化し、裸の王様と化してしまったのではないでしょうか。現に、この頃の前市長の声は天の声・神の声であって、前市長に意見ができる幹部職員などは、いるはずがないような状態でした。
 新空港関連事業に多額の税金を投入したことによって、確かにまちの外観は変わりました。しかし、それは、事業に群がった一部の業者等が利益を得ただけのことであって、そこで暮らす市民の生活は、何も変わっていなかったのです。共に300億円もの巨費を投じながら、閑古鳥の鳴いている文化センターと市民からの評判が悪い市立病院は、それを象徴する施設ではないでしょうか。この選挙の結果は、現市長に対する信任票ではなく、前市長に対する市民の不満票がもたらしたものではないかと思っています。
 一方、中堅及び若手の職員は、自分も含めて、この選挙結果を歓迎しました。感覚的にですが、前市長の市政は、住民ニーズからかけ離れていると感じていたからです。しかし、財政破綻の原因となった事業を実行した前市長が敗退したことは、その責任をよりあいまいなものにしてしまいます。
 今も、本市では、財政健全化団体になった責任は誰にあるのかという議論があります。前市長?現市長?議員?職員?国・府?市民?正直に言うと、自分には分かりません。誰かを悪者にできるような、そんな単純なものではないと思います。あえて言うならば、責任は誰にあるのかではなく、最終的には、主権者である市民がその責任を負わなければならないということではないでしょうか。ただ、現在の関西3空港が当初の予定どおり新空港のみであったならば、夢の未来都市はともかくとして、財政が破綻するようなことにはならなかったと思っています。
 現市長の就任直後、反市長派が多数を占める市議会は、予想どおり迷走を極めました。助役人事は難航する上、議案の訂正、撤回、否決等は日常茶飯事という状態でした。さらに、既に財政が危機的な状態であることが表面化してきます。当時、現市長は、選挙公約を何一つ実現できない財政状況に愕然としたという話があります。
 この頃から、本市では、財政の健全化が大きな問題となっていきます。平成12年5月には、行財政改革推進計画及び行財政改革実施計画が発表されますが、何しろ借金が多すぎました。当然、人件費の削減は大きく、その結果、大阪で一番忙しいとまで言われた市の職員の給料が、実は一番安いという状態になってしまいます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 15:43 | その他

コメント

現市長は3期12年で引退することを宣言しており、条例まで作りました。後2年で引退です。次の市長にはどんな要素が必要だと思いますか?

投稿者 5階からです。 : 2010年1月9日 20:52

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