物言いで処分

 「大阪府の橋下徹知事が全職員あてに、税金に対する意識の低さを嘆くメールを出したところ、ある職員が反論する返信を出した。知事は「物言いが非常識だ」と激怒。一連のやりとりを府幹部らに転送し、この職員の処分を検討するよう指示した。府庁内では知事の態度を「度量が狭い」と疑問視する声もある。
 発端は、1日夜に知事が送信したメール。利水からの撤退によって府の損失が386億円に上った紀の川大堰(和歌山県)をめぐり、議会で原因を淡々と説明するだけだった府幹部について「何事もなかったかのよう。給料が保障される組織は恐ろしい」などと書き、全職員に送った。
 2日昼、ある職員が「責任は(投資を)決断した人にある。こんな感覚の人が知事である方が恐ろしい」と職員を責める知事を批判する返信をした。「愚痴はブログ等で行ってください。メールを読む時間×全職員の時間を無駄にしていることを自覚してください」ともたしなめた。
 これに怒った知事は同夜、この職員に「上司に対する物言いを考えること。トップとして厳重に注意します。言い分があるなら知事室に来るように」と送信。職員も返信で「公務をどけてでもお邪魔します」と応酬した。
 知事は7日、取材に「一般常識としてこの物言いはどうか。組織の体をなしてない」と述べた。職員の間からは「知事自身が『メールを送って』と言っていたのに、気に入らなければ処分なんて」とおびえる声も出ている」(10月8日付け朝日新聞朝刊)。
 処分?何で?信用失墜行為(地方公務員法第33条)か?職務命令違反(同法第32条)か?それとも職務不適格者として分限(同法第28条第1項第3号)か?と思っていたところ、次の記事がありました。
「大阪府の橋下徹知事は8日、自らが全職員あてに送ったメールに反論を返信してきた職員と、直属の上司を府の内規に基づく「厳重注意」にすることを決めたと報道陣に明らかにした。「非常識」メールは過去もあったというが、組織としての対応は初めてという。知事は「人事担当が精査した。トップへの物言いは一般常識を逸脱している」と理由を説明。今回の厳重注意は地方公務員法に基づく懲戒処分ではないため、人事記録に残らない。知事は今後は記録に残すよう検討を指示した」(10月8日付け朝日新聞夕刊)。
 やっぱり、不服申立てのできない事実上の処分ですか。処分事由説明書の交付もないでしょう。「人事担当が精査した」らしいですが、ムチャクチャですね。
 ところで、橋下知事はよく「民間企業ならば……」という言葉を使いますが、民間企業であるならば、予算総額が4兆円を超え、かつ、総職員数が8万5千人を超えるような組織のトップに、経験ゼロのタレント弁護士が選ばれるということ自体があり得ないと思うんですけどね。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:51 | 地方公務員法

コメント

事実なら、本当に大人気ないし、橋下ファンとして残念です。戦国時代でもあり得ない処分です。暴力とか、脅しとかなら仕方ないにせよ。上下関係厳しい消防機関に勤務し、部下職員をいる立場として言わせてもらえば、これぐらいはコミュニケーションの一つですよね。いろんなことを言われて間違いに気付くこともあれば、さらに自信になることもあります。怒るだけでは、誰もついてきませんし、裸の王様になりますよ。

投稿者 お茶の間の囀り : 2009年12月7日 17:53

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