−管理人のたわごとブログ− 附則と付則
例規において、「附則」を「付則」と表記している地方公共団体があります。本市でも、平成6年までは「付則」と表記していました。某議員から「附則」の間違いではないかと指摘され、返答できなかった当時の部長が誤りと認めたため、平成7年からは「附則」と表記しています。
法令で使用する漢字については、「法令における漢字使用等について」(昭和56年10月1日付け内閣法制局総発第141号)を基準としていますので、法令に準じて例規を制定しているのであるならば、「付則」と表記することは誤りです。しかし、当該地方公共団体が例規においては「付則」と表記すると決めたのであるならば、それはそれで一つのルールです。当然、誤りではありません。
漢字使用については、「常用漢字表」(昭和56年内閣告示第1号)によるものとされていますが、「附」も「付」も常用漢字表に掲載されています。「附」と「付」の使い方については、「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)によると、「戦前には、「附」と「付」とは、漢語では一般に使い分けていた。すなわち、「つく・つける」の意を含む語には、例えば、「附属」「附表」のように「附」を用い、また、「わたす・あたえる・さずける」などの意を含む語には、例えば、「交付」「給付」などのように「付」を用いていた。
しかし、古くから「つく・つける」の意を表す場合に相通じて使われていたこともあり、特に戦後の国語施策の実施以降は、漸次「附」と「付」を使い分けず、「附」を用いる場合にも「付」を用いる方向に向かっていった。すなわち、「当用漢字表」では、「附」と「付」の両者ともに採用されてはいるが、これは当時国語審議会で審議中に、日本国憲法に「附」が用いられていることが分かったため、漢字の選定方針にかかわらず、いわゆる憲法用の他の漢字とともに無条件に表に採用することになったものである。また、旧音訓表でも「付」には「フ・つける」という音訓を採用し、「附」には「フ」という音だけを採用した。更に「当用漢字補正資料」(昭29・国語審議会)では、「附」を当用漢字表から削除する28字の中に入れた。以上のようなわけで、公用文を含めて社会一般でも、特に支障のある場合のほかは、「付」を用いるようになってきた。
その後、国語審議会から答申された新音訓表でも、「付」には「フ・つく・つける」という音訓を掲げ、「附」には「フ」という音だけを採用した。そして、「附」の語例として「附属」「寄附」を示しているが、他方、答申の中には「付表」という語も用いられており、全体の趣旨としては、なるべく「付」を用い、特にこの語例に見られるように、「附」を用いる慣用が強いと思われるものについては、「附」を用いることとしたものと考えられる。
このような経緯によって、法令及び公用文での取り扱いとしては、従来の用字法を尊重することが適当と考えられる「附属・寄附・附則・附帯・附置」については「附」を用い、これ以外のものは原則として「付」を用いることとした」とあります。
同音であったこと、「付」に統一しようとする傾向があったこと及び「当用漢字補正資料」で「附」が当用漢字表からの削除候補であったことなどから、「付則」が一部の地方公共団体で採用されることになったのではないかと思われます。
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