法制執務雑感

 「新訂ワークブック法制執務」(法制執務研究会編/ぎょうせい)に続き、「自治立法実務のための法制執務詳解」(石毛正純著/ぎょうせい)の横書き版が近々発行される予定だと聞いて、今から楽しみにしています。そんな本の何が面白いのかと思われる方も多いと思いますが、法制執務にはパズルや将棋のような面白さがあり、難解な改め文や附則の経過措置を考えているときなどは、わくわくしながら仕事をしていることさえあります。
 自分は、法律と条例とは、似て非なるものだと考えています。地方公共団体は、憲法第94条で「法律の範囲内で条例を制定することができる」と自治立法権が保障されています。ほとんどの地方公共団体では、法制執務上も法令に準じて例規の制定改廃を行っていますが、自治立法権を有する地方公共団体が1,800以上もあるわけですから、そこには当然ローカルルールというものが存在します。京都市の「右に」や大阪市の「中」の用法などは、その代表的なものです。これらの市のすごいところは、このようなルールを担当者の能力に依存するのではなく、組織的に連綿と遵守しているところだと思います。
 また、平成12年に鳥取県で実施されるようになった新旧対照表方式による例規の改正方法は、自分にとっては衝撃でした。ローカルルールがここに極まったと感じましたが、現在では、岩手県、新潟県、愛媛県、武蔵野市、那覇市など十数団体(ぐらいでしょうか?)が新旧対照表方式を採用しています。県で結構採用されているのは、法規担当課が組織的に対応する場合、新旧対照表方式の方がやりやすいからでしょうか。
 溶け込み方式と新旧対照表方式との優劣はともかくとして、本市では、国が新旧対照表方式を採用しない限りは、溶け込み方式を続けていくつもりです。理由は、自分が現行の溶け込み方式に何ら問題を感じていないのと、改め文を考えるのが面白いからです。改め文は、法制執務上、法令に準じた一定のルールの中で、分かりやすさと経済性を考慮しながら制定するのですが、どの本にも載っていない、官報を検索しても見付からないという場合に、一人で悶々と考えたあげくに出した答えには、例えそれが間違っているかもしれないにせよ、しびれるような何かがあります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:10 | 法制執務

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