「することができる」と「するものとする」

 先日、洋々亭さんのフォーラムで、公の施設の管理を指定管理者に行わせる場合、「することができる」と規定するべきか、それとも「するものとする」と規定するべきかということが話題になっていました。どちらを採用するかは、当該地方公共団体ごとの考え方によるものですが、楽しく読ませていただきました。
 「することができる」は、「一定の行為をすることが可能であることを表す場合に用いる。一定の行為をするかしないかの裁量権を付与する場合と、一定の行為をする権利又は能力を付与する場合との、2通りの用い方」があります。また、「するものとする」は、「「しなければならない」よりは義務付けの感じが弱く、ある原則なり方針なりを示すという場合に用いる(「するものとする」は、解釈として、合理的な理由があればしなくてもよいという意味も出てくるので、その用い方には注意する必要がある。)」(「法制執務詳解」石毛正純著/ぎょうせい)とされています。
 そして、地方自治法第244条の2第3項は、「普通地方公共団体は、……「指定管理者」……に、当該公の施設の管理を行わせることができる」と規定しています。これは、普通地方公共団体にその権限を付与しているものと解されます。
 自分は、条例に「市長は、(公の施設)の管理を指定管理者に行わせることができる」と規定することは、普通地方公共団体に与えられた権限を市長に委任したものであると考えています。また、「(公の施設)の管理は、指定管理者に行わせることができる」と規定することは、法律で規定されていることを条例で2度書きしているだけで、その必要性が認められません。
 これらのことから、本市では、指定管理者制度を導入しようとしている公の施設の条例については、その方針を示すため、「(公の施設)の管理は、指定管理者に行わせるものとする」と規定することにしています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:18 | 法制執務

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