情報公開危うし

 「情報公開制度を巡り、想定外の大量請求や営利目的の請求に頭を悩ませる自治体が増えている。富山県では4年前に比べ、年間の請求数が100倍近い8万件に急増。9割は同じ人物による請求で、他の開示業務が圧迫されているとして、県は有料化などの検討を始めた。専門家からは「安易な制限は知る権利の侵害につながりかねない。慎重な議論が必要だ」と懸念する声も上がっている。」
 「情報公開危うし」と見出しが付された12月3日付け毎日新聞朝刊の記事です。先日、情報公開・個人情報保護審査会があり、そこでの報告案件の資料としてこの記事を提出しました。本市もまた、一部のマニアや営利目的による大量の情報公開請求に苦慮しています。
 こうした大量請求に対する対策として、手数料の徴収に踏み切った地方公共団体もあるようです。しかし、情報公開制度の趣旨を考えると、一律に手数料を徴収するのはどうかと思いますし、かといって減免規定を置いてしまうと、その効果が期待できません。マニアや業者のしたたかさは、お役所の及ぶところではありません。
 また、情報公開条例に利用者の責務として権利の濫用を禁止する規定を置いているところも見受けられます。そもそも、権利の濫用が許されないのは、法の一般原則として当然のことであると考えられますが、単に請求文書が大量であるということをもって、権利の濫用であると認定することは、困難が予想されます。
 大量請求に関する問題は、情報公開制度に伴うコストであって、知る権利を保障するためにはやむを得ないものであるのか、それとも制度の根幹を揺るがす大問題であるのか、もう少し様子を見ようと思っています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:13 | 情報公開・個人情報保護

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