−管理人のたわごとブログ− 新旧対照表方式(中編)
一般的に、改め文方式の場合は、改正文が簡素であり、全国的に統一及び確立された方式であるが、改正内容が分かりにくく、非常に難解であるとされています。一方、新旧対照表方式の場合は、改正内容が分かりやすく、事務作業が軽減されるが、改正方式が未確立であり、改正の効力に疑問があること及び文書量が増大することが難点であるとされています。
本市の場合、担当課は、例規の案を作成する必要はありません(2007年2月2日付けブログ参照)。本市の現状から、担当課に法制執務の知識を求めるのは、コストパフォーマンスが悪すぎると考えているからです。ですから、新旧対照表方式を採用したとしても、担当課の事務作業が軽減されることにはなりません。逆に、「新旧対照表方式は、まだ運用されて間もなく、実績も十分とはいえないことから、試行錯誤の段階といっていい。各自治体の取組みを見ても、厚いマニュアルや事例集を作成するなど、標準化を目指している途上であろう。この点、実務担当にとってはむしろ難解な改正作業を強いられる結果になる」(「徹底比較!自治立法の動向を探る」出石稔(「ガバナンス平成18年年8月号」ぎょうせい))と考えられます。
例規における最も難解な規定は、附則です。新旧対照表方式によっても、これは変わりません。むしろ、条建てによる改正が多発する傾向がある新旧対照表方式では、更に難解になってしまう可能性があります。また、新旧対照表方式が条、項又は号を単位として引用する以上、本来改正する部分以外の部分に改正が波及する可能性も否定できません。
法制執務の技術は難解であると言われていますが、自分は、そうは思っていません。当然、完璧を期すことは至難ですが、8割から9割をもって合格点とするならば、そう難しいものではないと感じています。8割から9割で合格などとは、意外に思われるかもしれませんが、市町村の例規は、実質、そんなものです。現在では、「法制執務詳解」(石毛正純著/ぎょうせい)を始めとして、良書が多数あります。また、インターネットでは官報情報検索サービスによって法令等の検索が容易にできます。例規は、法令を真似て作る方が楽です。新旧対照表方式によって、自らルールを作る方がずっと難しいと思っています。
tihoujitiさんも強調されていますが、改め文方式にせよ、新旧対照表方式にせよ、これらは、例規を改正する一つの技術にすぎません。肝心なのは、改正後(溶け込んだ後)の例規です。法規担当者が例規審査に当たり、審査する本質は、改正後の例規であって、また、効力をもって適用されるのも改正後の例規です。これは、新旧対照表方式によっても変わりません。殊更に改正方法の分かりやすさが強調される新旧対照表方式ですが、逆に、改正方法が図式化つまりビジュアルっぽくなったことによって、分かったような気になってしまい、肝心の改正後の例規がないがしろになっていないかということの方が懸念されます。
最後に、新旧対照表方式の最大のメリットとして、「住民にとって分かりやすい」という点が挙げられます。しかし、果たしてそうでしょうか。
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