−管理人のたわごとブログ− 2008年11月
「県民にとって分かりやすい条例等の改正方式にする、という目的で導入した新旧対照方式については、県議会で審議をする議員には、議員提案による条例改正も新旧対照方式で行われていることもあり、理解しやすくなり、一定の評価をいただいていると考えている。
一方、その他の県民にとっては、新旧対照方式の改正内容を実際に目にするという機会は少ない。県議会事務局が、ホームページで議案を公開するようにしているので、それにアクセスされれば、議案段階で新旧対照方式での条例改正案を目にすることができるほか、議決後公布された条例を、紙ベース又はホームページに掲載された県公報で見る、ということができる程度である。したがって、県民から直接、新旧対照方式になって見やすくなった、などの声を聞くことはない」(「条例改正における新旧対照方式(鳥取県方式)の導入とその後〜分かりやすい条例へのステップとして〜」亀井一賀(「自治体法務NAVIvol.6」(第一法規))とあります。
何か、地方自治の主役であるべき住民(県民)が欠けていませんか。「県民にとって分かりやすい」ということは、「議員にとって分かりやすい」ということですか。現実は、住民にとって、例規の一部を改正する方法など、どうでもいいことではないでしょうか。そもそも、例規集を読んでいる、又は読んだことがあるという住民がどれぐらい存在するのでしょうか。「住民のため」とか「住民にとって」という言葉を使い、居もしない住民や有りもしない意見を行政側の都合で作り出すことには、少なからずの反発を感じます。大切なことは、当該地方公共団体において、例規つまりこういうルールができましたということを、いかに分かりやすく住民に広報することではないかと思うのです。
ただし、新旧対照表方式という新たな手法を編み出した鳥取県には、敬意を表します。安易に新旧対照表方式を採用することには賛成できませんが、新旧対照表方式は、現行の法制執務のルールを極めて簡素化できる可能性を示すことができたと考えています。例えば、例規の改正に当たっては、一部改正の方式ではなく、全部改正の方式によることとし、その都度全文を見直すこととするとか、一部改正の方式を極めて簡素化し、条項号単位ですべてを改める方式のみを採用するなど、先進的な地方公共団体の取組が期待されます。
また、現時点においては、新旧対照表方式が溶け込み方式の究極のローカルルールである以上、あえて新旧対照表方式を採用する必要性が認められませんが、「少なくとも私自身は、新旧対照表化は十分に可能と思っている次第である。また、内閣法制局としても、その具体的な方法を検討したこともある。今後、この問題をどう取り扱うか、内閣提出法律案にかかわる政府部内のみならず、そもそも立法機関である国会も含めて、立法に携わる関係者の広い合意が必要と思われる」(「実務立法技術」山本庸幸著/商事法務)との意見もあります。この問題は、今後のお楽しみといったところでしょうか。
なお、本市では、条例案を議会に提出する際、議案の参考資料として、条例案の新旧対照表を付託される委員会に提出することとしています。
新旧対照表方式については、これまた愛読させていただいている「自治体法制執務雑感」でhoti-akさんが詳細な分析をされています。11月11日(火)の発表に当たっては、非常に参考にさせていただきました。お礼申し上げます。
「府は27日、橋下徹知事が掲げる地方分権のビジョンの素案を発表した。大阪から分権改革を発信するのが狙い。10年度からの4年間で、府から全市町村に特例市(人口20万人以上が指定の要件)並みの権限を移譲する、などとした「工程表」を示した。
タイトルは「大阪発地方分権改革<rジョン」。市町村への権限移譲、府と大阪市の役割の整理、道州制の実現の3本柱で構成している。18年度までの目標として、市町村合併を促して府内をすべて中核市(人口30万人以上が指定の要件)以上にすることや、関西州の実現を掲げた。
府は来月から市町村とビジョンについて協議する予定だが、権限移譲に伴う財源移譲については「分析中」として明らかにしていない。パブリックコメントを28日から実施し、今年度末までに策定する。
橋下知事は素案について「すばらしい内容。非常に具体的にこれから進めるべき課程を示せた」と自賛した」(11月28日付け朝日新聞朝刊)。
ふーん、そうですか……本市も4市3町以上の規模で合併して中核市ですか。
「橋下徹知事は27日、自民、民主、公明、共産の各会派の府議団と、平成21年度の予算編成について協議した。私学助成など、20年度に削減した事業の見直しを求める各会派に対し、知事は「このままでは予算が組めない。一緒にどこを削るか考えてほしい」と要望。国の厳しい管理下に入り、自治体独自の事業ができなくなる「財政再建団体」への転落にも言及し、厳しい財政状況を訴えた。
「一緒に責任を持って議論していただきたい。議員の要望を受けて行政が予算を組むという従来のやり方を、大阪から変えたい」
知事はこう協力を訴えたが、府議からは「住民サービスをこれ以上削るべきではない」(自民幹部)、「事業の優先順位をつけるのは知事の仕事」(民主幹部)など反論が相次いだ。
知事は「いっそ、財政再建団体になった方が府の再建が進むのでは」と発言し、府幹部が「自治体は債権放棄ができない。大事なのは自助努力」とたしなめる場面もあった。終了後、再建団体への転落を持ち出したことについて「負担を将来世代に先送りするぐらいなら−ということ。府民や職員に覚悟を持ってほしくて使った」と説明した」(11月28日付け産経新聞朝刊)。
ふーん、そうですか……大阪府も予算が組めないような状況ですか。
夢を語るのも結構ですが、もっと地に足をつけた行政をするべきではないでしょうか。
一般的に、改め文方式の場合は、改正文が簡素であり、全国的に統一及び確立された方式であるが、改正内容が分かりにくく、非常に難解であるとされています。一方、新旧対照表方式の場合は、改正内容が分かりやすく、事務作業が軽減されるが、改正方式が未確立であり、改正の効力に疑問があること及び文書量が増大することが難点であるとされています。
本市の場合、担当課は、例規の案を作成する必要はありません(2007年2月2日付けブログ参照)。本市の現状から、担当課に法制執務の知識を求めるのは、コストパフォーマンスが悪すぎると考えているからです。ですから、新旧対照表方式を採用したとしても、担当課の事務作業が軽減されることにはなりません。逆に、「新旧対照表方式は、まだ運用されて間もなく、実績も十分とはいえないことから、試行錯誤の段階といっていい。各自治体の取組みを見ても、厚いマニュアルや事例集を作成するなど、標準化を目指している途上であろう。この点、実務担当にとってはむしろ難解な改正作業を強いられる結果になる」(「徹底比較!自治立法の動向を探る」出石稔(「ガバナンス平成18年年8月号」ぎょうせい))と考えられます。
例規における最も難解な規定は、附則です。新旧対照表方式によっても、これは変わりません。むしろ、条建てによる改正が多発する傾向がある新旧対照表方式では、更に難解になってしまう可能性があります。また、新旧対照表方式が条、項又は号を単位として引用する以上、本来改正する部分以外の部分に改正が波及する可能性も否定できません。
法制執務の技術は難解であると言われていますが、自分は、そうは思っていません。当然、完璧を期すことは至難ですが、8割から9割をもって合格点とするならば、そう難しいものではないと感じています。8割から9割で合格などとは、意外に思われるかもしれませんが、市町村の例規は、実質、そんなものです。現在では、「法制執務詳解」(石毛正純著/ぎょうせい)を始めとして、良書が多数あります。また、インターネットでは官報情報検索サービスによって法令等の検索が容易にできます。例規は、法令を真似て作る方が楽です。新旧対照表方式によって、自らルールを作る方がずっと難しいと思っています。
tihoujitiさんも強調されていますが、改め文方式にせよ、新旧対照表方式にせよ、これらは、例規を改正する一つの技術にすぎません。肝心なのは、改正後(溶け込んだ後)の例規です。法規担当者が例規審査に当たり、審査する本質は、改正後の例規であって、また、効力をもって適用されるのも改正後の例規です。これは、新旧対照表方式によっても変わりません。殊更に改正方法の分かりやすさが強調される新旧対照表方式ですが、逆に、改正方法が図式化つまりビジュアルっぽくなったことによって、分かったような気になってしまい、肝心の改正後の例規がないがしろになっていないかということの方が懸念されます。
最後に、新旧対照表方式の最大のメリットとして、「住民にとって分かりやすい」という点が挙げられます。しかし、果たしてそうでしょうか。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第27条第1項は、「教育委員会は、毎年、その権限に属する事務(前条第1項の規定により教育長に委任された事務その他教育長の権限に属する事務(同条第3項の規定により事務局職員等に委任された事務を含む。)を含む。)の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならない」と規定しています。この報告書の議会への提出については、どのようにされます(されました)か?
本市では、議案の一部(報告案件)として議会に報告した健全化判断比率及び資金不足比率(2008年7月29日付けブログ参照)とは異なり、議長あてに文書で提出し、12月定例会の議員協議会又は常任委員会で報告を行うということにしました。
これは、同じ規定ぶりである地方自治法第199条第9項(「監査委員は、監査の結果に関する報告を決定し、これを普通地方公共団体の議会及び長並びに……に提出し、かつ、これを公表しなければならない」)が、「監査委員が監査の結果を議会に提出するのに、提出議案のような形式をとる必要はない」(昭和27年6月10日行政実例)と解されていることによりました。
矛盾しますが、本市では、監査の結果に関する報告については、以前から議案の一部(報告案件)として議会に提出しています。「監査委員は、監査の結果を議長に文書で提出すれば足りるが、第121条の規定により要求があれば、議場において報告の内容を説明することができる」(昭和33年11月17日行政実例)とも解されていますので、これは、一つのローカルルールということで……。
なお、教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価に関する報告書についても、第121条の規定による要求があれば、議案の一部(報告案件)として議会に提出することになるかもしれません。
追記として、いくつかの市町村から御照会をいただいた出産育児一時金については、一律380,000円に改正することになりました。理由は、市長の判断です。病院の料金(分娩料)改定と合わせて、12月定例会に提案します。
15日(土)、16日(日)と総務課の親睦旅行で播磨〜丹後方面に行ってきました。
総務課の親睦会は、会費は一律で、人事異動に伴う歓送迎会と年に一度の親睦旅行を行っています。最近では、親睦旅行をしない課も増えてきており、親睦会に入らない職員や、また、親睦会そのものがない課もあります。十数年前と比較すると、全庁的に職場の人間関係がギスギスしてきたように感じます。
なお、親睦会では、職員が飲むお茶代も徴収しています。以前は、各課に冷蔵庫や電気ポットがあったのですが、今では、電気代削減のため、廃止されています。
11日(火)、阪南8市4町法規事務担当者研究会があり、例規の一部を改正する方法として一部の地方公共団体で採用されている新旧対照表方式について、私見を述べさせていただきました。
日本の法令の改正方法は、従来から「「○○」を「△△」に改める」等とする改め文による溶け込み方式を採用しています。「既存の法令の一部を改正する法令は、それ自体独立した法令ではあるが、これが施行されたときには、一部改正法令の本則で規定している元の法令を改正する具体的内容は、元の法令の中に溶け込んでしまい、その附則だけが意味のあるものとして残るという取扱い」(「ワークブック法制執務」法制執務研究会編/ぎょうせい)です。地方公共団体の例規も、法令の改正方法に倣っています。しかし、この法令の改正方法については、法令で定められてはいません。つまり、慣習によっているわけです。自分は、日本語で法令を書くのと同じように、それが当然であると考えていましたし、今もそう考えています。
そうかといって、頭ごなしに新旧対照表方式を批判するつもりもありません。愛読させていただいている「初心忘るべからず(オモテ)」でtihoujitiさんが「新旧対照表方式でも改め文方式でもどっちでもいい」と述べておられますが、自分も同じ意見です。ただ、新旧対照表方式のメリットを強調した記事などを読むと、「そら、違(ちゃ)うやろ」と思うことがあるのです。
現在、各地方公共団体で採用されている新旧対照表方式は、溶け込み方式です。従来の改め文によっていた溶け込み方式を、新旧対照表という表を用いることによって、改め文を図式化したものです。それは、あくまで改正前の欄の下線で示した部分を改正後の欄の下線で示した部分に改正するという考え方です。一部改正の例規の本則が表から成るものを「この条例は、……」と言えるのかとか、下線は溶け込まないのかといった議論はさておき、自分は、新旧対照表方式は、究極のローカルルールであると考えています。
そもそも、地方公共団体の例規は、ガチガチに法令に準拠しているわけではありません。どこの地方公共団体においてもローカルルールは存在します。これまた愛読させていただいている「自治体法務の備忘録」でkei-zuさんが、一部改正の手法について、「どうやったって溶け込むから良いんです」と述べておられることがありますが、これまた自分も同じ意見です。ローカルルールの重要な点は、溶け込むかどうかです。新旧対照表方式が溶け込むのであれば、問題はありません。それを採用するかどうかは、地方公共団体ごとの判断だと考えています。
鳥取県を初めとして、新旧対照表方式を採用している地方公共団体が増えてきました。正確な数字は分かりませんが、相当数の地方公共団体が新旧対照表方式を採用していると思われます。当初、改正の効力を疑問視する意見もありましたが、相当数の地方公共団体が採用しているという事実をもって、この問題については、クリアしていると考えても良いのではないでしょうか。
現在、本市では、文書管理システムを再構築するため、業者と調整中です。既存のパッケージソフトをベースに、本市用にカスタマイズしています。
新しい文書管理システムを導入するのに際し、複数の業者からデモを見せてもらいましたが、どのソフトも余計な機能が多すぎます。さらに、その機能が本市の文書管理規程からはかけ離れたものになっています。本市の文書管理規程は、至って標準的なものです。どこの地方公共団体をモデルに開発したのかは分かりませんが、このようなシステムに合う文書管理規程を作成している地方公共団体を、自分は知りません。電算の世界は、よく分かりません。
なお、電子決裁は、まだ実施する予定はありません。その理由は、PCを扱えない管理職員が相当数いるからです。そんな本市で、複雑な機能は必要ありません。簿冊と文書の登録と検索ができれば、それで十分です。
例えば、市町村の職員が公用車を運転中に住民と接触事故を起こし、示談によって解決した場合、地方自治法第96条第1項第12号及び第13号の規定により、和解及び損害賠償の額を定めることについて、議会の議決が必要です。和解と損害賠償の額を定めることとは別々の行為ですが、その関連性から、一般的には、「和解及び損害賠償の額を定めることについて」というように、一つの議案として提出されている例が多いと思われます。
しかし、これが地方公営企業の場合は、少し事情が異なります。地方公営企業法第40条第2項が「地方公営企業の業務に関する負担附きの寄附又は贈与の受領、地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起、和解、あつせん、調停及び仲裁並びに法律上地方公共団体の義務に属する損害賠償の額の決定については、条例で定めるものを除き、地方自治法第96条第1項第9号、第12号及び第13号の規定は、適用しない」と規定し、また、「○○市(町村)水道事業の設置等に関する条例〔準則〕」(昭和41年8月20日自治企−第2号)第6条が「水道事業の業務に関し法第40条第2項の規定に基づき条例で定めるものは、負担附きの寄附又は贈与の受領でその金額又はその目的物の価額が○○千円以上のもの及び法律上市(町村)の義務に属する損害賠償の額の決定で当該決定に係る金額が○○千円以上のものとする」と規定しているからです。
つまり、条例準則(現在も〔準則〕のまま?)どおりに「法第40条第2項の規定に基づき条例で定めるもの」を規定しているのであれば、地方公営企業については、「地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起、和解、あつせん、調停及び仲裁」については議会の議決が不要であり、「○○千円以上」の「法律上市(町村)の義務に属する損害賠償の額の決定」についてのみ議会の議決が必要ということになります。
「その他の規程で公表を要するもの」として、内部規範たる規程が公表、つまり告示されているのであるならば、「その他の規程で公表を要するもの」と「地方公共団体の内部的規律たる性質を有する規則」とを区別する必要があるのでしょうか。地方分権一括法施行後において、同じ手続を経て制定されたモノを「規則」と「規程」とに分ける実益はないように思われます。
規則が「地方公共団体の住民の権利義務に関する法規たる性質」又は「地方公共団体の内部的規律たる性質」を有するものであって、「法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し」(地方自治法第15条第1項)て制定することができるものであるならば、議会又は議長においても、規則制定権があると解するのが自然ではないかと思うのです。
議会の規則制定権は、地方自治法の一部を改正する法律(平成12年法律第89号)で政務調査費が法制化されたときに話題になりました。その際、「地方財務2000年11月号」(ぎょうせい)に掲載された「地方議会の規則制定権についての一考察」(加藤幸雄)では、次のように述べられています。
「地方議会の規則制定権について、議会は、法的効力の強い上位法たる条例制定権があるが、その下位法たる規則制定権がないとする考えは、法理論上考えさせられる。
……(略)……
もし、規則の制定が必要な場合、議員立法の条例に長の制定した規則という法体系となり、極めて不合理である。……(略)……
自己決定・自己責任を原則とする地方分権が具体化するなかで、議員の条例制定の必要性、重要性が強く叫ばれている。しかし、議会に規則制定権がないとすると、これらの条例には、一般の条例のように委任による項目を定める規則、実施に関する細則を定める規則を制定することはできない。
議会は、規則制定権を有し、議員立法になる場合、条例事項は条例に、規則事項は規則に、規程事項は規程などに規定すべきであるとするのが法理にあった解釈であろう。」
議会基本条例を制定している地方公共団体があります。ある町の議会基本条例を読んでいると、議会の規則制定権が気になり、長々と書いてしまいました。
なお、政務調査費に関する規則については、ほとんどの地方公共団体が長の規則で制定しています。
| Top