−管理人のたわごとブログ− 議会の規則制定権(中編)
各地方公共団体の例規集を調べてみると、ほとんどが、「会議規則」も「会議の傍聴に関し必要な規則」も「議会規則」として制定しています。「議会規則」と「議長規則」とを区別する実益がないという考え方でしょうか。しかし、地方自治法第120条と第130条第3項の主語が異なっている点、つまり、議会と議長とは、その権限を異にしている点は、一考を要する問題ではないかと思います。
また、いくつかの地方公共団体では、「会議規則」及び「会議の傍聴に関し必要な規則」以外にも「議会規則」を制定しています。こうした地方公共団体は、おそらく、議会には規則制定権があると解されていると思われます。そもそも規則制定権を有しない議会又は議長に、「会議規則」と「会議の傍聴に関し必要な規則」のみの規則制定権があるとする昭和26年7月11日付け行政実例は、おかしいのではないでしょうか。
なお、大阪市は「会議規則」を「議決」、「会議の傍聴に関し必要な規則」及びその他規程を「議長決定」として、鹿児島市は「会議規則」、「会議の傍聴に関し必要な規則」及びその他規程をすべて「議会告示」として定めていることから、議会又は議長には規則制定権がないと考えているようです。
条例と規則は、法律と法律に基づく政令のような関係ではありません。規則には、政令と同様に条例の委任を受けて制定されるものもありますが、「必要的条例事項を除けば、法令又は条例の委任等がなくても、地方公共団体の住民の権利義務に関する法規たる性質を有するものを定めることができ、また地方公共団体の内部的規律たる性質を有する規則を定めることができる」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)とされています。
昭和26年7月11日付け行政実例において、規則という法形式の使用を限定的に解した理由は、いわゆる地方分権一括法施行前の機関委任事務に関する規則を意識したものではなかったのではないでしょうか。同法の施行に伴い、機関委任事務(機関委任事務に関する規則)が廃止され、また、地方自治法第14条第2項において「義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない」と規定されたことにより、「規則並びにその機関の定める規則及びその他の規程で公表を要するもの」の存在意義に変化があったと考えるべきではないでしょうか。
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