広島市暴走族追放条例

 広島市暴走族追放条例の最高裁判決については、既にみなさん御存じのことと思います。この裁判は、暴力団の準構成員であって、「面倒見」と呼ばれる地位にある人物が被告人であるということにも興味深いものがありますが、市町村の法規担当者にとっては、次のように非常に厳しい意見が述べられています。
 「一般に条例については、法律と比較し、文言上の不明確性が見られることは稀ではない」(堀籠裁判官補足意見)
 「本条例の粗雑な規定の仕方が、単純に立法技術が稚拙であることに由来するものであるとの認識に立った場合に、初めて首肯されるものであって、法文の規定そのものから多数意見のような解釈を導くことには、少なくとも相当の無理がある」(藤田裁判官反対意見)
 条例というものは、こうした経験を踏まえて進化していくものでもあるのですが、判決文を読みながら、本市でも暴走族追放条例を制定せよと命令されていたらどうしただろうかと考えてしまいました。そもそも、このタイプの条例は、実効性を確保するためには都道府県で制定すべきものであると思っています。
 「たとえ裁判で敗訴することがあったとしても、条例づくりへの果敢な挑戦が条例論の発展に寄与するものであることを確信して、堂々と冒険をしましょう」(「自治体法務の最前線」提中富和著/イマジン出版)という意見には共感できるのですが、法規担当者としては、このような条例はできるだけ制定したくないというのが本音です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:31 | 政策法務

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投稿者   : 2013年10月29日 08:28

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