事務に関する説明書

 市長は、議会に「予算に関する説明書その他当該普通地方公共団体の事務に関する説明書を提出しなければならない」(地方自治法第122条)とされています。
 予算に関する説明書を提出する必要があるのは「「予算を議会に提出するとき」に、当該予算に関するものに限られる」と解されています(「逐条地方自治法」松本英明著/学陽書房)。また、同条は「Aその他Bを提出しなければならない」と規定していますので、「事務に関する説明書」も、当初予算、補正予算を問わず、「予算を議会に提出するとき」には必ず提出しなければなりません。ただし、「地方自治法質疑応答集」(地方自治制度研究会編著/第一法規)には、「特定の経費に限られた補正予算案で、それが諸情勢により、あえて説明をするまでもないようなものについてまで必要とするかどうかは消極的に考えてよいのではなかろうか」とあります。
 「予算に関する説明書」とは、同法第211条第2項に規定する「政令で定める予算に関する説明書」のことですが、「事務に関する説明書」とは、どのようなものでしょうか。
 以前本市では、各課の事務を数値化した「事務報告書」という説明書を暦年で作成し、当初予算案が提案される3月定例会にのみ提出することとしていました。ところが、この「事務報告書」は、本市では、予算委員会でほとんど使われることがなく、専ら決算委員会での審議に使われていました。決算は会計年度で調製されるのに対し、事務報告書は暦年で作成されているのですから、当然、数字に相違が生じることになります。すると、議会は言うまでもなく、部課長からも会計年度で作成し、決算の認定に合わせて9月定例会に提出するようにとの要望がありました。自分は、そのたびに「事務報告書」が「事務に関する説明書」である以上は、そのような取扱いはできない又はすべきではないとの説明を行っていましたが、さすがに一人では抗しがたく、「平成14年中事務報告書」を最後に、「事務報告書」を会計年度で作成し、9月定例会に提出することになってしまいました。この9月定例会にも「平成18年度事務報告書」が提出されます。
 なお、本市では、「予算に関する説明書その他」の説明書としては、投資的経費に限り「予算概要説明書」というものを作成し、提出することとしています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:18 | 地方自治法

コメント

大阪府ではないのですが、はじめて、投稿させてもらいます。
実は、本市も合併に伴い、「事務に関する説明書」の見直しを検討し、県内他市に状況を問い合わせたのですが、驚いたことに、それを作成していない市がほとんどでした。確かに暦年では、資料的にもどうか思いますし、議会でも活用されている様子はありません。本当に苦労して作る必要があるのか疑問に思っていたところでしたので、非常に参考になりました。ちなみに本市では暦年から年度(ただし、12月までの統計)に変更して作成しております。

投稿者 ゴンベイ : 2007年9月3日 10:08

大阪府下の市町村でも「事務に関する説明書」を作成していないところがいくつかあります。
合併というのは、事務を見直すいい機会でしょうね。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 2007年9月5日 17:27

コメントしてください




保存しますか? はいいいえ


< 2007年8月 >
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
Links