句読点

 先日のニュースでA市(北関東の市)の文書が写っていました。その文書は、読点に「、」ではなく、「,」を用いて作成されていました。そこで、A市のホームページを見てみると、ウェブ上では「、」が用いられていましたが、PDF化された公文書や例規集では「,」が用いられていました。そういえば、公務員が書かれているブログ等でも、読点に「,」を用いている例が見受けられます。
 実は、「公用文でも、横書きの場合は本来「,」を用いることとされているのであるが(「公用文作成の要領」昭和26年10月30日国語審議会建議第3の5の注2)、今日までこのルールはほとんど無視されてきた」(「わかりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)のです。現に、公用文の書き方を所管している文化庁、法務省や裁判所等以外ですと、国においてもこのルールはあまり守られていません。では、なぜこのルールが守られていないのでしょうか。元々、日本語は、縦書きを基本としており、官公庁においても昭和30年代半ばまでは縦書きで文書を作成していました。そのため、横書きで文書を作成することがなく、昭和26年に出された通知の記憶が薄れてしまったのがその原因ではないかと礒崎氏は自身のブログで述べておられます。
 句読点は、句切り符号といい、戦後、欧米化の流れの中で公用文が横書きとされ、当初、句読点は「,」と「.」を用いるつもりであったと何かで読んだ記憶があります。国際標準なのでしょうか、確かに理系の専門書や学術書などでは、句読点に「,」と「.」が用いられているのが見受けられます。また、表彰状や感謝状では、句読点は用いないこととされています。
 なお、地方公共団体では、各団体ごとに「公用文作成要領」等の手引を作成し、句読点の使い方について定めていることと思いますが、旧自治庁の「左横書き文書の作成要領」では「、」と「。」を用いることとされています。このことも「,」と「、」が混在することとなった原因の一つではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:17 | 文書事務

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