−管理人のたわごとブログ− 当初予算案否決
平成19年度一般会計予算案が否決されました。そこで本市がとった方法は、議事日程を変更し、修正を加えた予算案を再提案するというものです。その結果、無事に可決されましたが、これは、一事不再議の原則に抵触しないのでしょうか?
否決した議会の意向を踏まえて内容(款・項)に修正を加えた予算案は、一事には当たらないというが本市の解釈です。たしかに、同じ議決でも、可決とは異なり、否決については、柔軟に対応するべきだと考えられています。可決された議案は、そのことについての議会の意思が決定されていますので、同一内容は当然のこととして、修正を加えた議案についても、事情変更の原則が働かない限り、提出することはできません。これに対し、否決された議案については、@議案を議会の意思として採用していない、A議会は他の案についての意思決定をしていないと考えられることから、同一内容の議案を提出することはできませんが、修正を加え、内容を変更した議案については、提案することができると考えられるからです(「議員・職員のための議会運営の実際21」地方議会研究会編著/自治日報社 参照)。
しかし、今回の修正部分は、議会で問題とされた事業予算を削除しただけです。「当初の否決された条例案を分割してその一部だけで新たな条例案として提出することも一事不再議の原則に抵触するものである」(「地方自治第367号 実務・研究『一事不再議の原則に関する若干の考察』浦野昭治」地方自治制度研究会編/ぎょうせい)のと同様に、今回の修正予算案は、一事に当たると考えるべきではないでしょうか。
最近、各地で当初予算案が否決されるケースが見受けられます。各自治体は、苦心の上での対応をされているとは思いますが、自分は、当初予算案が否決された場合は、3月定例会の会期を延長するなり、4月臨時会を招集するなりして、再議に付さなければならないと考えています。当初予算には、必ず「法令により負担する経費、法律の規定に基き当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費」が含まれているはずです。それを「削除し又は減額する議決をしたときは」必ず「長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない」(地方自治法第177条第2項)と規定されているのがその理由です。また、一事不再議の原則の適用を除外する事項として、長の再議(地方自治法第176条・第177条)が規定されている意味も考えてみるべきではないでしょうか(予算案が可決する前に新年度が始まる場合は、予算の空白期間を防ぐために3月31日までに暫定予算を専決処分する必要があります。また、当初予算案が否決された自治体の対応としては、3月間の暫定予算を専決処分し、6月定例会で当初予算案を提案するという方法が見受けられます。)。
今回の事例は、自分の意見がまったく採用されなかったものです。「一事不再議の認定権者は議会であり、あるいは委員会であって基準がないことと、執行機関が関与すべきものではない。もしも、一事不再議に疑問がある場合どうするかは、特別にこの種のものに対する法規定がないことから、議員の思惑や立場、面子から混乱することになるが、そうした場合、議会運営委員会又は全員協議会で論議して、合意されたらそれに従えばよいし合意されなければ、一事不再議の理論を貫かないで、問題の事件に対して、採決することも解決の方法である」(「最新会議規則・委員会条例・傍聴規則逐条解説」中島正郎著/ぎょうせい)ということで自分を納得させようとはしていますが、悪しき先例ができてしまったという思いが強いです。
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「当初予算案否決」をテーマに情報を探していたら、このブログが出てきました。この項に限らず、他のテーマについても内容がしっかりしているので、びっくりしました。
どんな立場の方が書かれているのかしれませんが、共感できる部分がとても多くあります。時間をかけて全部読ませていただきます。
投稿者 地方公務員 : 2008年2月17日 17:39
しょぼい市のしょぼい職員のたわごとです。気楽に読んでください。
投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 2008年2月18日 12:52
再議に付してもいいんですが、(というより、再議に付さなければならないんでしょうが)実益が乏しいと思うんですよね。当初予算否決だから、義務的経費の執行が確保されるだけなんですよね。しかも、過半数議決だから、たぶん再議も否決になるんじゃないでしょうか。
そこまで考えると、暫定予算のほうがすぐれているかなと…。暫定予算で義務的経費の執行、その他最小限の一般的経費の執行を確保できるのであれば、実質的に再議に付したのと同じ効果(+アルファ)が得られるので、私としてはこちらを選択したい。
投稿者 ひま人 : 2008年2月23日 15:48