−管理人のたわごとブログ− 企業誘致条例(前編)
一般的に、企業誘致条例とは、一定の基準に該当する企業を誘致することによって産業の振興や雇用の創出を図ることを目的とし、誘致企業に対して、税条例や企業誘致条例等に基づき、事業税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等を、一定期間、課税免除や不均一課税により減じるというものです。地方公共団体が企業を誘致するための方法として、こうした条例を制定する場合には、当然のことながら、公益性(地方税法第6条)について慎重に検討しなければなりません。
しかし、こうした企業誘致条例を利用して、たばこの卸売販売業者等の営業所を市町村内に誘致し、市町村たばこ税をかすめ取る方法があります。
市町村たばこ税は、卸売販売業者等が小売店に売り渡した製造たばこの本数を課税標準として、当該小売店の所在する市町村へ卸売販売業者等が申告納税する制度です。基本的には、たばこの消費地とたばこ税の収入地は同じになるものと考えられますが、卸売販売業者等が小売店以外の者(例えば、パチンコ店の景品を扱う供給業者等)に大量に売り渡した場合には、卸売販売業者等の営業所がその市町村にあることによって、実際の消費量を大幅に上回るたばこ税収入がその市町村に入ってくることになります。このたばこ税収入を得るために、例えば、売上高の何パーセントかを奨励金として交付することを内容とした条例を制定し、卸売販売業者等を当該市町村内に誘致するという方法です。
このような奨励金の交付は、税金を一部の業者に還元するものであって、公益上認められるものではありません。また、この影響を他の地方公共団体が減収という形で受けてしまい、地方財政法第2条第1項の「他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない」という規定に違反する可能性が極めて高いと言わざるを得ません。
こうした問題を是正するために、平成16年度に地方税制度が改正され、たばこ消費基礎人口一人当たりの市町村たばこ税収入が、全国平均の3倍を超えた市町村は、その超えた部分を翌年度、都道府県に交付するという市町村たばこ税都道府県交付金制度が創設されました。しかし、例えば、地方交付税の交付を受けていないことを前提として、本市が企業誘致条例を制定し、たばこの卸売販売業者等の営業所を本市内に誘致した場合をシュミレーションしてみると、全国平均の3倍という数字は、22億円になります。現行の市たばこ税収入が8億円ですので、14億円もの税収増になります。
(本日のブログは、「自治大阪平成17年6月号」の「自治の窓」の「税条例について」を参考にさせていただきました。)
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
投稿者 : 2013年9月24日 16:53